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第5回|「意味」がわかると、人は動く

─ マナビノシクミが大切にする「意味づけ」の力

· 人材育成
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「この仕事って、なんのためにやってるんですか?」

新人や若手から、こう聞かれてドキッとした経験、ありませんか?

「それ、説明しなきゃいけないの…」と思う反面、たしかにうまく答えられないことももある。

これは育成において、「意味づけが抜けている」サインかもしれません。

「やらされ感」の正体は、「意味がわからない」こと

マニュアル通りに業務を教えていても、相手にとってその作業の意味がつかめていなければ、やる気も続きにくいものです。

  • どうしてこれを今やるのか
  • この仕事が、誰に、どう役立っているのか
  • 自分がこの仕事を通して、どう成長するのか

こうした意味づけがないまま進むと、育成対象者はただ「指示をこなす人」になってしまい、成長の実感も持てません。

事例:「日報」が意味を持った瞬間

ある現場で、若手が「日報って、誰が読んでるんですか?」と質問してきました。

実はその若手、日報を書くことに少しモヤモヤを感じていたそうです。
「これって、上司に自分の行動を監視されてるだけじゃないの?」と、そんなふうに思っていたのです。

そこで先輩がこう伝えました。

「この日報は、翌日のシフト担当や工程リーダーが見て、翌日の配置や支援を決める材料にしてるんだ。
つまり、あなたの視点や判断が、チームの動きを支える判断材料になっているってことだよ」

その瞬間、若手の表情が変わりました。

「じゃあ、自分の観察や気づきが、次の仕事を左右してしまうのですね…」

それ以降、その若手が書く日報には、現場の変化や工夫、改善の提案が自然と含まれるようになりました。「意味」がわかるだけで、人の行動は変わる。しかもそれは、ただ従わせるよりもずっと、自然で力強い変化でした。その後、翌日のシフト担当や、工程リーダーが、彼を見る目も変わってきました。

意味づけのための問い

マナビノシクミでは、以下のような問いを活用して、育成対象者と「意味」を言葉にする時間をつくります。

  • この仕事は、誰に、どんな価値を届けている?
  • これを丁寧にやることで、どんな未来につながる?
  • 自分はこの仕事を通して、どんな力を伸ばしたい?

作業が目的や意義とつながったとき、人は「やらされる人」から「自ら動く人」に変わっていきます。

育成者自身も、意味を言葉にできるか?

この回は、育成対象者だけでなく、育成する側にも問いが返ってくる回かもしれません。

  • この仕事って、自分にとってどんな意味がある?
  • このチームで育てるって、どんな未来につながる?
  • 自分はなぜ、今この役割を引き受けているんだろう?

意味は、育成対象者に教えるものではなく、一緒に言葉にしていくものです。

次回予告:「実験」が学びを加速する

次回は、マナビノシクミの特徴である「実験とふりかえりのサイクル」に焦点を当てます。

  • 育成に「完璧な正解」は必要なのか?
  • 小さなトライ&エラーがチームを育てる理由とは?

実際の現場でのふりかえりの事例もご紹介します。