
「育成って、ちゃんと時間をとって、落ち着いた場所で、じっくり対話することは必須ですよね?」
理想は、たしかにそうかもしれません、、、
でも現実は、目の前の業務に追われて、まとまった時間を確保できることは稀です。
かといって、「時間がないから育成は無理です」とも言えない。自身の育成もままならないのに、さらに他人の育成に時間をかけるなんて、、、
そのジレンマ、よくわかります。
だからこそ、マナビノシクミではこう考えます。
「場」は、特別な時間に作るものではなく、日常の中に織り込めるもの。
「話せる空気」が、育成を回し始める
成長には「気づき」が必要で、その気づきは、「ふりかえり」と「対話」の中で生まれやすくなります。
まずは、「場」が必要です。
ここでいう「場」は、研修室でもなければ、静かな会議室でもありません。5分間の立ち話でも、Slackでのひと言でもいい。
大事なのは、「声を出せる/受け止めてもらえる」という「環境」です。
事例:5分の「立ちふりかえり」で、言葉が増えた若手たち
ある製造部門では、毎週水曜日の終業前に、チームで「KPTAふりかえり会」を立ったまま実施しています。
最初は「正直、何を話せばいいかわかりませんでした」という若手も、数回続けるうちに、自然と自分の言葉で話すようになっていきました。
たとえば、こんな声が聞かれるようになりました:
- Keep:困っていそうな人に、自分から声をかけれたのがよかったです
- Problem:その反対に、自分がうまくいかなかったとき、もうちょっと頑張ろうとして、相談のタイミングを逃してしまって…
- Try:頑張る前に、ちょっと立ち止まって状況を整理するようにしたいです
- Action:明日の午前に◯◯先輩と打ち合わせがあるので、そこで少に時間をもらって、状況を整理する観点について相談します
この「1人30秒ずつの共有」がチームの中に定着すると、「話せること」が自然になり、育成の空気感も変わってきたと言います。KPTAボードを使わくても、Keep⇒Problem⇒Try⇒Actionのフォーマットで思考が整理できるようになってきました。
育成に効く「場」のつくりかた
忙しい中で「育つ場」を織り込むには、少しのコツがあります。
場所より「時間」
オンラインでもOK。大事なのは、考えを言葉にする「時間(タイミング)」をつくること。
完璧な仕切りはいらない
司会がいなくても、問いだけ決めれば自然に回り始めることもある。
ルールはゆるく、続けやすく
毎週やらなくても、隔週でもOK。大事なのは「続けられること」。持続できる、そういう場を作ることです。
小さくても、「場」は雰囲気を変える
育成において、「場」は単なる時間やスペースのことではありません。
「ここなら話せるかも」「ここなら挑戦してもいいかも」という感覚を育てる環境づくりです。そしてその「空気感」ができてくると、後輩たちは「黙って待っている」状態から、「自分から声を出す」ように変わっていきます。
次回予告:「教えない」ことで、育てることもある
第4回では、育成者側の「あり方」に焦点を当ててお話しします。
テーマは、「対話」。
- つい教えすぎてしまうクセ、どうしたらいい?
- 答えを言わずに、考えを引き出す関わり方とは?
実際に、対話だけで行動が変わった事例もご紹介します。